■不適切ではなく粉飾のレベル
上村達男早大教授の話
第三者委の報告書を読むと、経営トップの経営判断で多くのカンパニーで不正会計が行われたと認定しており、部下が止めるのは事実上不可能だったとなっている。名門企業でもある東芝トップのリテラシーの低さにまず驚かされた。不正会計が違法行為で刑事罰になるという感覚がない。虚偽記載などが行われており、今回の問題は、不適切会計ではなく、明らかに粉飾といえるレベルだ。
報告書では企業統治(コーポレートガバナンス)が機能しておらず、経営トップを是正させるのは不可能だったと結論付けている。財務部門は収益改善の目標数値「チャレンジ」の原案を社長と一緒に作成し、監査部門も社長のコンサルタントになっていた。
財務部門や監査部門は社長をチェックする最後の砦(とりで)なのに、一緒に加担していては不正が横行するのは当然だ。再発防止には、トップのリテラシー教育や本体と各カンパニーの内部監査を一段と強化する必要がある。