利益水増し問題により、取締役16人の半数に当たる8人が辞任するという異例の事態に陥った東芝。暫定的に社長を兼務する室町正志会長は21日、社外取締役らからなる「経営刷新委員会」を設置する方針を示した。企業統治(コーポレートガバナンス)の強化や新経営陣の人選に乗り出すが、主要役員は軒並み辞任しており、新体制での船出に向け前途は多難だ。
最大の焦点は後任社長人事だ。本来なら候補者として名前が挙がる4人の副社長全員が辞任しており、人選は難航が予想される。
21日の会見では刷新委が、社外取締役を取締役の過半数にすることを含めて取締役会の枠組みについても検討する方針が示された。室町氏は「委員会設置会社として企業統治の仕組みはつくったが、内部統制が不十分だった」と形骸化を認めた。刷新委は新体制のあり方全般に関わることが明確になり、東芝の再生に向けて鍵を握る存在となりそうだ。
巨額の利益水増しという不適切行為の結果、大幅な業績の下方修正が求められる見込みだが、東芝は資産売却の方針を発表。すでに主要な取引行には、2000億円規模で実施すると伝えている。株式や不動産などを売却して財務基盤を強化し、資金繰りに万全を期す考えだ。