全国各地の劇団の観客動員数が伸び悩む中、「ネクステージ」(大阪市浪速区)が提供する動画配信サービス「観劇三昧」が会員数を伸ばしている。1カ月に980円さえ払えば約200作品を好きなだけ見られる。劇場まで足を運べない遠方の小劇団の作品も見られるとあって、劇団側もファン開拓の手段として期待を寄せている。
同社は、当時別のIT開発会社「DKMobile」(堺市)を経営していた福井学社長が友人に誘われて観劇したのを機に設立された。
年間に公演を200回も見るほど熱中するようになり、劇団の関係者とも親しくなり、劇団の苦しい経営状況やアルバイトかけ持ちの劇団員の窮状を知るようになった。
ファンの一人として、役者が思う存分才能を発揮できるようにと、公演以外の収益源が確保できないか模索。その頃、京阪神劇場連絡会の依頼を受けて、2013年5月、各劇団の公演チラシを閲覧できるスマートフォン用のアプリ「関西チラシ手帖(てちょう)」を制作した。
劇場に足を運ばなくても演劇を楽しんでもらう仕掛けとして、公演の動画を配信するサービスを発案。同年8月、パソコンやスマホなどで公演の動画を見ることができるアプリ「観劇三昧」も始めた。取り扱う動画は関西の劇団が中心という。
月額980円で全作品が自由に閲覧できる。動画の再生数に応じて劇団に収益を比例配分している。作品ごとに課金する方式では、動画を再生するまで収益は上がらないが、月額制では事前に一定の収益が見込める。ユーザーがこれまで興味のなかった劇団を知ることもでき、宣伝効果が大きいという。