同社は喫茶店事業からの撤退について「創業者である社長が高齢になり、自分が生きているうちに店を閉めたいとの意向があった。業績面で他店に押され低迷し、4月から消費税率が上がることもあり、このタイミングで撤退を決めた。今後は不動産業に絞る」と説明。大人向けの高級志向が、安価なコーヒー店が浸透した今の時代に合わなくなったとの見方もある。
減り続ける喫茶店
外食産業総合調査研究センターの推計では、平成24年の喫茶店の市場規模は1兆197億円。ピークだった昭和57年(1兆7396億円)の約6割に縮小。喫茶店の事業所数も総務省の統計によると、自家焙煎などの「珈琲専門店」ブームだった昭和56年の15万4630店をピークに減少し続け、24年には4万9298店と3分の1以下にまで落ち込んでいる。
背景について、兵庫県喫茶飲食生活衛生同業組合の理事長で、神戸市垂水区で喫茶店「リア珈琲」を経営する林靖二さん(61)は「若者はファッション性の高い『スターバックス』や安いコンビニのコーヒーに流れる。ビジネスマンも『ドトールコーヒー』などセルフサービスの店に行く。個人経営店には後継者が不足しており、時代の変化に対応できていなかった」とみる。