阪急阪神百貨店を抱えるエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングが選択したのは、盛況だったイタリアフェアのように非日常のわくわく感が得られる「百貨店らしさ」を追求する道だった。
昨年11月に増床開業した阪急梅田本店は、その象徴だ。「祝祭広場」は9~12階が吹き抜けで300人が座れる階段を配置。ここを中心にイベントを頻繁に行う「劇場型百貨店」として、にぎわいを取り戻すことを使命としている。
その仕掛けは一定の成功を収めており、10月の来店客数は前年同月の約1・5倍、店内に滞留する時間は2・8倍にも上った。課題は来店客が増えたにもかかわらず、それが売り上げに直結していないことだ。
阪急梅田本店は、平成25年度の売上高目標について当初2130億円に設定していたが、今年5月に1900億円に修正。さらに10月には1880億円にまで引き下げた。購買単価も前年比4%増と、「10%以上にしたい」という目算にはまだ及ばない。