訪日外国人をめぐる小売業界の戦略に変化が起きている。中国人の富裕層を主なターゲットにしてきた百貨店は、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域からの観光客を見据えて「チャイナプラス1」のサービスを展開。ディスカウントストアのドン・キホーテは訪日客の呼び込みを事業化し自社以外への誘客も請け負う。訪日客数は年間1000万人が視野に入り、2020年の東京五輪開催決定で今後も伸びる可能性が高い。旺盛な購買力の取り込みを狙う争奪戦は今後、訪日客の多様化を背景に多彩な展開をみせそうだ。
マレー語の通訳
10月下旬の夕方、新宿高島屋(東京都渋谷区)の免税カウンターは外国人でごった返していた。中国、韓国、台湾からの観光客に交じってタイ人の姿も目立つ。親族6人で来日したタイ人女性、ラッカナ・チョンサマンさん(42)は仏高級ブランド「ルイ・ヴィトン」のハンドバッグなど6点を購入した。総額は100万円を超えたが「タイで買うより10%は安い」。