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豊かな感性が生むエシカルなアクセサリー CHAN LUU

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豊かな感性が生むエシカルなアクセサリー CHAN LUU

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気さくな笑顔のチャン・ルーさん。工房を模したスペースで、器用な手つきでブレスレッドを編んで見せてくれた=2014年4月5日、東京都千代田区の大丸東京店(原田史郎撮影)  【Fashion Addict】

 米ロサンゼルス発のブランド「CHAN LUU(チャン ルー)」は、天然石やガラスのビーズを革紐で連ねたラップブレスレットなどで知られ、歌手レディー・ガガやハリウッド女優サンドラ・ブロックらセレブリティから、主婦や学生まで幅広い顧客を持つ。この、ごくシンプルなデザインのブレスレットが、世界中で愛されているのは、なぜなのか。その理由が知りたくなり、4月上旬にセレクトショップ「アーバンリサーチ」とのキャンペーンのため来日したデザイナーのチャン・ルーさんに話を聞いた。

 海外の伝統文化に刺激受け

 「あなたのブレスレットを腕に巻くと、まるで旅行を楽しんでいるみたいな気分になるの」。チャン・ルーさんは、自身のブランドのアクセサリーを身に着けた顧客から、そんなふうに言われることがあるという。

 なぜだと思う、と問うと「それは私の人生が旅みたいなものだからかしら? 経験してきたさまざまな国の伝統文化が、ものづくりのインスピレーションの源になっています」と言った。

 中国人とベトナム人の血を引く両親のもと、ベトナムで育った。高校はフランス人学校に通い、1972年に渡米し、大学へ。82年、ロサンゼルスにブティックを開き、96年、「チャン ルー」ブランドをスタートした。

 幼い頃から今まで、海外へたくさん旅をした。どこに行っても、とりわけ心引かれるのは、現地の伝統工芸品。手から手へ技術が受け継がれ、時代を経て磨かれてきた技巧やデザインが、チャン・ルーさんの感性に響き、次の発想を生むのだという。

 米先住民の工芸品から着想

 例えば、今季春夏の新作アクセサリーは、ネーティブ・アメリカン(米先住民)の文化に着想を得た。鮮やかな空色のトルコ石と、くすんだグレーのラブラドライトの球が連なるラップブレスレットで、金と水色の小さなシードビーズでトライバル(民族的)な柄が編まれた部分はタペストリー(壁飾り)の柄がヒントになった。

 「ネーティブ・アメリカンの工芸品の色使いが大好き。過去から培われた伝統の豊かさに心が引かれます。私のクリエーションは常にモダンなものですが、受け継がれた技術を現代的な形でミックスしてきました。伝統と融合すると、モダンなものにも温かみが生まれると感じるんです」

 故郷ベトナムに手工業の工場

 チャン ルーのアクセサリーは、手作りされている。10年ほど前、故郷ベトナムに手工業の工場を建てた。現地の女性や障害を持つ人々を雇い、今では400人が革紐とビーズなどを使い、ブレスレットをはじめとするアクセサリーを製作している。ベトナムの1人当たりGNI(国民総所得)は1260ドル(2011年)と、米国の約40分の1だ。「貧困から逃れたい人々の助けになりたい。それにはチャリティーではだめです。クリエーティブ(創造的)で、サステナブル(持続可能)な形でなければ。人々が仕事を得て、尊厳を保ちながら自立して生きることが大切なんです」

 チャン・ルーさんは年1、2度、ベトナムの工場を訪れる。都市部ほど目まぐるしくはないが、訪ねるたび村の変化に驚くという。「子供たちが学校に通い、自転車やテレビを持つようになったり。中には、貧困への不満からくる暴力がなくなった、という話も聞くことがありました」と笑顔を見せた。

 職人育成、経済的自立促す

 そんなエシカル(社会や環境に配慮した)なものづくりは、昨年(2013年)、国連機関との新たなプロジェクトにつながった。持続可能な輸出を通じて途上国の開発支援を行う国連機関「ITC(国際貿易センター)」の協力を得て、アフリカ・ケニアと中米ハイチで、職人を育成し、経済的自立を促すプロジェクトを開始。その工房から生まれたアクセサリーシリーズ「チャン ルー エシカル ファッション インターナショナル」の販売を開始した。

 ハイチでは細く割いた新聞や雑誌をくるくると巻いて小さな紙ビーズを作り、それを使ってベトナムの職人がネックレスやブレスレットに。ケニアでは現地のマサイ族が得意とするビーズ工芸の技をいかし、ブレスレットを製作。ケニアの職人は早くも技能が向上し、柄模様を編めるようにもなったという。

 洗練されたアーティスティックなデザインはもちろん、ぬくもりのあるストーリーの数々もまた、このブランドが支持されている理由なのだろう。(文:津川綾子/撮影:原田史郎/SANKEI EXPRESS

 チャン ルーの商品を扱うショップや公式通信販売の情報は、www.yamatwo-ltd.jp/chanluu.html

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