厚みのあるゴム底、一目でそれと分かる黄色のステッチ、「Ａｉｒ　Ｗａｉｒ（エアウエア）」と書かれたラベル－。１９８０年代の英国スタイルをほうふつとさせる「ドクターマーチン」は、時代が変わった今も多くの人に愛され続けるブランドだ。最近は、これまでのドクターマーチンの世界観に新たな解釈を加えたウエアやバッグのラインも人気を呼んでいる。店頭に並び始めた２０１４年春夏コレクションにも、魅力が凝縮されている。

　アギネスとコラボ

　ドクターマーチンのこの春注目のアイテムは、斬新なファッションスタイルで知られる英国出身のモデル、アギネス・ディーン（３１）とのコラボレーションシリーズ。コラボは今回で４期目となったが、開放的な夏のイメージとドクターマーチンの自由で遊び心あふれるスタイルを、みごとに調和させてみせた。

　コレクションは、アギネスの現在のホームタウンであるロサンゼルスの１９７０年代を象徴する“サーフパンク”からインスパイアされている。例えば、スポーティーな要素を織り込んだワンピース。襟元や袖にナイロンテープやメッシュを使い、胸から下は夏のビーチをイメージしたイラストをプリントしている。オックスブラッドカラー（えんじ色）がドクターマーチンのエッセンスとなり、どこかレトロな雰囲気も漂わせる。同じプリントを配したドレスは、大胆なカッティングがポイント。ちょっとしたお出かけや夏の屋外パーティー、リ1ゾートなどでも活躍してくれそうだ。

　シューズコレクションも、暑い夏の装いにぴったりなデザインがそろった。薄めのソールにキャンバス地を用いたブーツには、右足は英国を意識したブリティッシュローズ、もう一方には夏のビーチをイメージしたヤシのワッペンがあしらわれている。アギネスらしいちゃめっ気のあるデザインは、夏の足元を個性的に演出してくれる。

　スポーティーなサンダル

　注目は、存在感たっぷりの２種類のスポーティーなストラップサンダル。白を基調にしたタイプは、ブリティッシュローズの刺繍を施したテープを使って個性的な印象に仕上げた。もう一方は、ストラップの部分にパテントレザー（エナメル）を組み合わせ、ラフな中にも都会的なエッセンスをプラスしている。

　ファンにとってたまらないのが、ドクターマーチンのアーカイブから復活を果たした「ソレラソール」を靴底に配したサンダルだ。履き心地に優れたデザインで、中央には２本のベルトを使っている。ベルトにはパンチングレザーを使い、個性的なカラーコンビネーションでレトロ感たっぷり。つま先のサボのような丸みが、かわいらしさを演出してくれる一足だ。

　自身も１３歳の時に初めてドクターマーチンのブーツを購入して以来、大好きなブランドの一つだというアギネス。「ドクターマーチンの自由で遊び心にあふれたスタイルは、とても素晴らしく楽しいもの。今回のデザインイメージは、のんびり暮らす控えめなビーチでの生活です」と話している。

　新作ウエアも続々

　オリジナルの新作ウエアも、ブリティッシュサブカルチャーをテーマにしたアイテムがそろった。形はあくまでベーシックだが、首元をシースルーのレースに置き換えたフェミニンなワンピースや、透け感のあるノースリーブシャツなど、独特のカッティングや素材使いが特徴。ユニセックスシャツのシリーズは、イギリスのブランド「ブルータス」とコラボレーションしている。ドクターマーチン・エアジャパンのプレス、永本司さんによれば、ブルータスは英国ではよく知られた老舗ブランドで、ドクターマーチンが英国のサブカルチャーとして浸透し始めた６０年代に絶大な人気を誇ったのだとか。「ビビッドな色使いのサスペンダーやチーフを合わせて、個性的な着こなしを楽しんでください」

　そして、ジワジワとファンを増やし始めているのがキッズのライン。ドクターマーチンの熱狂的なファンが多い３０代、４０代が親になり、子供に履かせたいシューズとして選ばれているようだ。一番人気は、エアクッションソールにソフトな手触りのレザーを使った定番の８ホールブーツ。子供自身での脱着も簡単にできるよう、内側にジッパーを採用している。

　創業から約５０年、世界中のファッションシーンに影響を与え続けてきたドクターマーチン。その進化は、まだまだ終わりそうにない。（今泉有美子／ＳＡＮＫＥＩ　ＥＸＰＲＥＳＳ）

ドクターマーチン　青山店

東京都渋谷区神宮前５の５１の６　（電）０３・６４２７・２０３０。営業時間：正午～午後８時。青山店は日本国内初の直営店。豊富な品ぞろえやこだわりのインテリアが自慢。ｗｗｗ．ｄｒ－ｍａｒｔｅｎｓ．ｃｏ．ｊｐ