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温かく優しい 個性的なモノトーン DEVASTEE POUR MUSEUM

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温かく優しい 個性的なモノトーン DEVASTEE POUR MUSEUM

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 【Fashion Addict】

 フランス語で「荒廃」を意味する「DEVASTEE(デヴァステ)」。フランス出身の若い2人が約10年前に立ち上げ、欧米で高い評価を得ているブランドの名前だ。モノトーンで織りなすデザインと、デザイナー自らが描くダークでファニーなイラストを融合した独特のファッションは、デビュー以来ヨーロッパを中心に注目を集めてきた。そのデヴァステがこの冬、セレクトショップ「VIA BUS STOP(ヴィア バス ストップ)」とのコラボレーションを実現。「DEVASTEE POUR MUSEUM(デヴァステ プール ミュージアム)」として、新たな世界を表現している。

 のどかな農園や墓石、牛のおなかに浮かぶ笑顔のお化け…。ブランドを象徴するダークでユニークなイラストは、デザイナーの一人、フランソワ・アラリィさん(32)が、子供のころの記憶からインスピレーションを受けて描いたものだという。それらのイラストを、もう一人のデザイナー、オフェリー・クレールさん(31)が引いたパターンの洋服に落とし込んでいく。こうしてデヴァステの服はデザインされている。

 品質にこだわり、色味にも細心

 そんな独特の世界観を基に、カトラリーや文具、ファッションアクセサリーとして誕生したのが、今回登場した「デヴァステ プール ミュージアム」のシリーズだ。

 カトラリーは白をベースに、フランソワさんが表現する風景やキャラクターが印刷された。ほかにも、全面にお化けが笑うトートバッグや墓石が並ぶマスキングテープ、ノートや付箋などさまざまなアイテムが登場。どの雑貨も、ブランドの世界観を余すところなく表現している。

 品質にも徹底的にこだわった。スプーンとフォークはホーロー製、ノートはフィレンツェの老舗文具メーカーROSSI(ロッシ)社に依頼したという。ヴィア バス ストップのPR・狩野せりかさんによれば、同じ白と黒でも色の薄さや色味などにも気を配っているのが特徴だという。「個性的なプリントのデヴァステは、根強いファンの多いのも特徴です。グッズが登場したときは、10種類以上のアイテムを購入してくださる方もいらっしゃいました」

 また今シーズン、ヴィア バス ストップではアパレル部門もより豊富なラインアップで展開。人気の高いTシャツを始め、プリントのブラウスやワンピース、ニットなどこの冬のアイテムがそろう。「代官山のお店では、フランソワのイラストから作製されたアニメーションも上映しています。ディスプレーにもデヴァステらしさが投影されていますので、お店全体でブランドの世界観を感じていただけたらと思います」(狩野さん)

 お化け、墓場モチーフの原点

 デザイナーの2人、フランソワさんとオフェリーさんは南仏ののどかな村で育ち、高校の同級生として出会った。フランソワさんのイラストにたびたび登場する墓やお化けの絵は、この頃の影響が強いという。「子供のころ、家の前に大きな墓地があったんです。草が生い茂った美しい庭園があって、不思議な形の石や彫刻もあった。なにも怖くはなく、温かくて優しい場所だったんです。そのイメージを絵にしたのが僕の作品です」(フランソワさん)

 ともに服飾デザインを学ぶ大学へと進み、2004年に2人でデザインしたコレクションを発表。フランソワさんが描き出すユーモラスなイラストと、オフェリーさんの斬新なパターンがシンクロし、パリコレクションのデビュー当時から高い評価を得る。同時に、フランソワさんのイラストはアートとしても注目を浴び、各地で個展を開いてきた。

 日本との出会いは今年の5月、東京・青山で開催された個展を機に初来日したことがきっかけになった。“都会が大の苦手”という2人だが、東京の街だけは相性がよかったのだとか。「仕事で世界中の都市に行きましたが、こんなに緑が多くて居心地がいい街に出会ったことがありません。ここなら、何度でも来たいと思いました」(フランソワさん)

 高層ビル、深い緑、青山墓地

 中でも、強く心を奪われたのが東京・港区の青山墓地だったという。「都会とは思えない深い緑と不思議な形の石、静かな空気に驚きました。そして空を見上げると、真っ青な空をバックに高層ビル(六本木ヒルズ)が建っている。そんな景色は東京にしかありません」。ヴィア バス ストップからコラボレーションの依頼があり、2人は快諾。今回のコレクションが完成した。

 そして、2人が選んだ2014年春夏コレクションのテーマも「青山墓地」。「大好きだった(南仏の)自宅前の墓地はもうなくなってしまったんですが、その懐かしい思い出が青山墓地でよみがえりました。同じように落ち着ける印象が、この青山墓地にはあったんです。今回のコレクションは、青山で感じたインスピレーションを生かしました」(フランソワさん)

 お化けや墓地といったダークなモチーフでも、優しく温かいものに変えてしまう2人。自然体のカップルが織りなすデザインは、日本でも確実にファンを増やし続けている。(今泉有美子/SANKEI EXPRESS

VIA BUS STOP MUSEUM(ヴィア バス ストップ ミュージアム)

東京都渋谷区猿楽町28の14 (電)03・5459・1567。営業時間:午前11時~午後8時(月曜は午後1時オープン)。www.viabusstop.com

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