応援したい自治体に寄付すると所得税や住民税が控除される「ふるさと納税」の普及が加速している。これに伴い、自治体からの返礼品も本マグロ丸ごと1本などの豪華な品から東京上空のヘリコプター遊覧など多種多様になってきた。しかし、高額な返礼品による寄付金獲得競争や、高所得者ほど得をするなどの制度の問題点も指摘されている。
「新鮮な養殖本マグロを1本、ご希望の場所で解体します」。長崎県松浦市は、200万円を寄付すると本マグロ1本を返礼品として提供している。希望する場所(西日本限定)でマグロの解体ショーが見られるサービス付きだ。
同市政策企画課ふるさと納税・魅力発信室の金子英樹室長は「地元の特産品で、目玉の品にもなるということで始めた」と説明する。
ふるさと納税は自治体に寄付すると2000円を超えた額が住民税や所得税から控除される制度。都市部に集中する税収を地方へ分配し、地域活性化につなげる狙いで2008年にスタートした。多くの自治体が返礼に特産品を送り始めてから利用が拡大した。
寄付金のクレジット決済や返礼品選びが簡単にできるふるさと納税のポータルサイト事業には近年、ソフトバンクや楽天などインターネット企業のほか、日本郵便やJTBなど異業種も相次いで参入。制度が利用しやすくなってきている。