総務省の統計によれば、寄付額は14度で前年度比2.7倍の389億円、15年度は同4.3倍の1653億円と急増している。
ふるさと納税をめぐっては、地元の産業と関係性の低い家電や商品券などで寄付金を集める自治体が続出し、総務省は今年4月にこうした返礼品の自粛を求める大臣通知を出した。
神戸大大学院の保田隆明准教授は、ふるさと納税の問題点として「高所得者が得をする不公平な制度になっている」と指摘する。高所得者ほど寄付金額の上限が高く、軽減される税額も大きくなる仕組みだからだ。返礼品の提供や内容は自治体の自主性に任されており、寄付金額が高いほど返礼品も高価になるケースが多い。
最近は実際に自治体に来てもらい、普段は体験できないサービスを提供する自治体も増え始めた。静岡市は動物が寝ている動物園のバックヤードの視察ツアー、福岡県苅田町は消防士体験を提供している。
だが、返礼品の換金も禁止されておらず、総務省が注意しても「換金しやすい返礼品を出す自治体がなくならない」(保田氏)のが実情という。
問題点の解決のためには法改正も含めて議論する必要がありそうだ。(大坪玲央)