一方で、年収要件を緩和すれば対象が増えて税収は減る。そこで、財源確保を目的に、夫(世帯主)の年収が1000万円前後を超える世帯を対象外とする案が浮上している。
もっとも、世帯主への所得制限という“増税”に踏み切れるかどうかは見通せない。そもそも、配偶者控除の見直しでは、妻の収入を問わずに適用する「夫婦控除」の導入が有力だった。しかし、その場合、負担増の世帯が出るため、政府・与党は総選挙などをにらみ、17年度税制改正で見送る方向になった。
仮に、選挙を意識し、世帯主への所得制限を設けず、妻の年収要件を引き上げることになれば、年収103万円超から150万円程度までの主婦が対象の「パート減税」になりかねない。財務省内には「それなら見直し自体やらない方がまし」と、現行制度を維持する案も浮上している。