2016年度以降、政府は20年までの5年間を「復興・創生期間」とし、支援態勢をこれまでの生活再建に加え、自立に向けた産業振興にも軸足を置く。牽引(けんいん)役として期待がかかるのが農林水産業への波及効果も高い観光産業だ。
15年の被災3県(岩手、宮城、福島)のホテルや旅館への宿泊者数は前年比2.2%増の延べ約2193万人となり、震災前の10年実績を上回る。風評で足が遠のいた訪日客も前年比約1.4倍で10年水準の達成も目前。復興庁は「今年を東北観光復興元年として、さらなる上積みを図る」と意気込む。
だが、インバウンド特需に沸く首都圏や関西と比べ、被災地の需要回復の伸びは緩慢だ。
宿泊者数の内訳も復興需要の寄与が大きい。観光客がメーンの宿泊施設に限れば被災3県の宿泊者数は10年の8割強。「入札不調などで施設やインフラ復旧が大幅に遅れている」(東北の観光協会)ケースが少なくないほか、風評で中国や韓国から客足が遠のいている。先月も韓国・ソウル市内で開催予定だった東北の物産イベントが開催日当日に中止が決まった。