「爆買い」が流行語大賞になるなど、今年は都市部を中心に中国人観光客が一段と存在感を増した1年だった。一方、爆買いする物が少ない地方でも、自然や歴史など地域固有の観光資源を生かし、外国人観光客を呼び込むことに成功しているケースがある。和歌山県田辺市では和歌山、奈良、三重の3県にまたがる世界遺産「熊野古道」を目玉とし、大都会にはない魅力で勝負。海外からの観光誘致などを行う組織も立ち上げ、欧米や豪州を中心に外国人客を増やしている。中国人も含め訪日リピーターは、買い物より自然体験などを求める傾向が強いとされ、今後はそうした層を積極的に取り込んでいきたい考えだ。
大都市にはない魅力
世界遺産登録から11年がたち、熊野古道では欧米や豪州などの外国人観光客の姿が目立つ。「日本の歴史や自然を体感できる場所を歩いてみたかった」と話すのは、オーストラリアからきた20代のカップル。日本の原風景や熊野の精神性に触れ、「崇拝に自然が関わっているという日本の考え方に興味を持った」という。
2人は日本に来るのは2回目。一般的に東京や大阪、京都などの主要都市を訪れたことがある外国人は、よりディープな日本を求めているようだ。