ともに片仮名の「アベ」に込められた意図は定かではないが、そこには安倍首相をからかい、おとしめようという「悪意」があることは感じられる。
22年9月に起きた尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の中国漁船衝突事件で、衝突映像を隠蔽しようとした菅直人内閣の意向に反し、映像をインターネットに流した元海上保安官、一色正春氏は2日、自身のフェイスブックにこう記している。
「いまだに『アベ政治を許さない』などと言っている人たちは、安倍総理の政治がどうというより安倍総理個人が嫌いなだけでしょう。たぶん」
もっとも流行語大賞は以前から、左派・リベラル色が濃すぎると政治的な偏りを指摘されていた。昨年の年間大賞では「集団的自衛権」と「ダメよ~ダメダメ」が同時に受賞し、意図はあからさまだった。
今年も大賞候補50語の中には「自民党、感じ悪いよね」「戦争法案」「国民の理解が深まっていない」など、流行語というより一定の政治的立場の表明のような言葉が並んでいた。