安倍晋三首相は24日、2017年4月の消費税増税時に導入する軽減税率制度をめぐり自民党幹部と党本部で協議した。宮沢洋一税制調査会長によると、首相は増税分を年金や医療などに充てる「社会保障と税の一体改革」の枠内(4000億円)で安定財源を確保するよう指示した。焦点となっている対象品目に関し、財政への影響に配慮して「生鮮食品」を軸に調整するよう求めたことになる。
12月10日ごろまでの決着を目指す公明党との協議は大詰めの段階。首相は谷垣禎一幹事長に引き続き交渉に当たって打開策を探るよう要請したが、加工食品も対象とする公明党案との開きは大きく、歩み寄りは予断を許さない情勢だ。
谷垣氏によると、首相は「無い袖は振れない」と指摘した。同時に「国民の理解が得られる制度」とし、対象品目の線引きをめぐって消費者や事業者に混乱が起きないようにすることも求めた。
宮沢氏は財源に関する首相の指示に関し、増税時に予定していた社会保障の充実策の一部見送りで捻出できる4000億円の範囲内だという認識を記者団に示した。対象品目を生鮮食品に絞った場合、税収の減少額は約3400億円に抑えられる。公明党との与党協議に今月19日から加わった谷垣氏が経緯を報告した。
他方、少なくとも加工食品全体を対象に含む公明党案に必要な財源は1兆円規模に上る。与党内では、最終的に党首会談に委ねられるとの見方も出ている。
首相を交えた協議に先立ち、谷垣、宮沢両氏と高村正彦副総裁、稲田朋美政調会長が軽減税率について議論した。