政府・自民党は30日、軽減税率制度など公明党との調整が難航している項目を除いた、来年度税制改正の素案をまとめた。法人税の実効税率を来年度に29%台へ引き下げるほか、企業版ふるさと納税の新設、市販薬を一定以上買うと所得税を減らすことができる制度の創設などが柱。来年夏の参院選を控え、たばこ税増税やビール類の酒税一本化など、増税色の強い項目は軒並み改正を見送った。
自民党税制調査会が同日開いた小委員会で、素案が了承された。来年度税制改正では、安倍晋三政権が掲げた「新三本の矢」を後押しするメニューをずらりと並べたのが特徴となる。
国内総生産(GDP)600兆円を目標とする「強い経済」の実現に向けては、法人税の実効税率を現在の32.11%から2016年度に29.97%前後に引き下げる方向で調整している。赤字企業も課税される「外形標準課税」の拡大などで、減税に必要な財源を確保。黒字であればより税優遇され、赤字を放置すると負担が重くなる仕組みで経済の活性化を狙う。
企業向けでは、株主資本利益率(ROE)と連動した役員報酬を、損金に算入できるようにする。法人税の優遇を拡大して、利益や資本効率の向上を後押しする。従業員を一定以上増やした企業の法人税負担を減らす「政策減税」も、対象を絞った上で継続する。