一方、安倍晋三首相は23日の衆院農林水産委員会で、日米協議について「全て(の品目で)関税撤廃ではないという状況をつくりつつある」と説明。その上で「米側にもぜひ高い見地に立ってもらいたい」と一定の譲歩を求めた。
日米協議は、日本の重要農産品5分野のうち、コメ、麦、砂糖は関税を維持する方向だが、牛・豚肉や乳製品のチーズについては米国が関税をなくすか、ゼロに近い水準まで大幅に引き下げるよう要求。日本は牛肉の関税(現行38.5%)を半分程度まで下げることで合意した日豪経済連携協定(EPA)を譲歩の目安としており、協議は難航してきた。
TPP交渉参加12カ国のうち経済規模で8割を占める日米の対立は交渉全体の停滞要因となっており、日米協議の行方は他の参加国も注視している。日米協議が暗礁に乗り上げれば、交渉全体も“漂流”が避けられないだけに、両首脳は交渉加速に向け、どれだけ前向きなメッセージを打ち出せるかが問われる。