環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉で日米両国の対立に解決の兆しが見えない。甘利明TPP担当相は10日、米通商代表部(USTR)のフロマン代表との2日間の会談を終えた。閣僚の直談判で、日本の農産品関税の扱いと自動車分野の妥協点を探ったが、合意に至らなかった。
甘利氏は会談後、記者団に対し「一定の進展はあったが、まだ相当の距離感はある」と述べた。フロマン氏も「重要な課題で、かなりの立場の違いが残っている」と難航を認めた。
日本が「聖域」として守る牛肉など農産品の重要5分野に対し、米国はTPPの「原則」とする関税撤廃を迫っている。日本は低関税率の特別輸入枠の導入など譲歩案も提案するが、大幅な市場開放を求める米国との意見の隔たりは依然として大きい。
甘利氏は10日午後、国会内で菅義偉官房長官と会談して対応を協議した。日米両国は引き続き都内で事務協議を開き、24日に予定する首脳会談での大筋合意を目指す方針。
だが政府内には「米国が歩み寄りの姿勢をみせないかぎり、首脳会談での大筋合意は難しい」(交渉筋)との見方がでている。甘利氏は「まだ(大筋合意が)可能か不可能かを言及する時期ではない」と事務協議の進展に期待を示した。