中間選挙で不透明感
米国は11月の中間選挙が迫る中、「(支持率の低い)オバマ政権は、日本に市場開放を求める農業団体などの言いなりにならざるを得ない」(通商筋)とみられる。実際、USTRは、今月4日に米議会に提出した通商政策の年次報告書に「(TPPは)14年に交渉を終えるべく取り組む」と明記。これまで3度先送りしてきた「年内妥結」を今年も目標に掲げたため、「11月の中間選挙後まで妥結を先送りするのでは」との観測もある。
このため今回の日米協議にも不透明感が漂うが、安倍晋三政権にとってTPPは成長戦略の大きな柱。経済界からも「TPPは国内の改革や生産性の向上に寄与する。交渉のカードを先に切ってはいけないが、できるだけ早く合意を形成してほしい」(長谷川閑史・経済同友会代表幹事)と期待が大きい。
それだけに交渉が失敗すれば経済政策「アベノミクス」への期待が急速にしぼむという懸念も強い。4月の日米首脳会談までの期間を逃せば交渉の失速は確実になる。日本の国益を守りつつ、米国との対立に着地点を見いだすことができるか。残された時間は少ない。(会田聡)