環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は12月10日、交渉継続を宣言する共同声明を発表し閉幕した。関税全廃にこだわる米国の圧力に対し、日本側は農産物の「重要5分野」586品目のうち真に守るべき品目を選別し、そこは一歩も譲らない姿勢を貫いてきた。来年1月の次回閣僚会合に向け厳しい交渉は続く。
首相出席演出も…
「同じことばかり言い合って、対立点ばかり強調しても意味がない」
閣僚会合の会場となったシンガポール市内のホテルの会議室。西村康稔(やすとし)内閣府副大臣は会合初日の(12月)7日から参加12カ国の閣僚らであふれる室内で声を張り上げていた。
日本政府は米国と歩調を合わせ「年内妥結」を目指してきた。米国と連携して一気に交渉をまとめ、日本の農産品の関税維持を図ろうとしたからだ。それだけに、妥結先送りは何としても避けたかった。そもそも日本は、交渉全体の空気を読めない米国を支えてきた面もある。