気になる居住性はどうか。前席は足元、横幅に十分な広さを確保。ヘッドクリアランスは身長172センチの筆者でもこぶし2つ分の余裕があるなど、小さな見た目からは想像できないほど快適。逆に後席はかなり狭く、大人は窮屈に感じるだろう。2人乗りのセカンドカーと割り切るのがベターだ。シートはいたって普通だが、座面に奥行きがあるので、太ももをしっかり膝までサポートしてくれる。この辺に欧州車らしさを感じる。
見た目は可愛いけれど、アクセルを踏むと…
では実際にクルマを走らせてみよう。助手席には産経のベテランカメラマン。単なる偶然だが、記者とカメラマンの組み合わせは「ローマの休日」とまったく同じだ。オードリーのような可愛いプリンセスとの出会いに期待して(?)、500Cで東京の街に飛び出した。
ギアを入れてアクセルを踏み込むと、コンパクトで愛らしい見た目とは裏腹に、875ccの2気筒ダウンサイジングターボエンジンが「ブロロロロ」と存在感たっぷりに唸る。静粛性とは無縁だ。今どき珍しい機械的でラフなサウンドに、イギリスの友人が乗っていた初代VWビートルを思い出す(もちろん、あそこまでうるさくはないけれど…!)。そういえばあれもオープンモデルだった。車体がぶるぶると震える振動が懐かしい。「あえてこういう味付けなのか?」。ハンドルを切ったり加減速をするたびにクルマから様々な反応が返ってくるので、自分で操作している感覚が非常に強い。クルマと会話でもしているようだ。今回は高速道を走る機会がなかったが、街乗りする分にはアクセルレスポンスや加速具合に不満は感じなかった。