最近日本でもよく耳にするようになった「ダウンサイジング」という考え方。小排気量エンジンに低回転から効く過給機を組み合わせることで、大排気量なみのパワーとトルクを実現すると同時に、燃料消費と排出ガスを減らして、環境負荷を抑えようというものである。欧州の自動車市場ではすでに主流となっており、大排気量エンジンが売りだった米国のメーカーですらこの動きが進んでいる。日本での環境負荷低減の取り組みは、ハイブリッド、電気、燃料電池の3つで市販にまでに大きく進んだ一方で、ダウンサイジングエンジンへの取り組みは遅れをとっていた。昨年になって、国内メーカーでもようやく動きがあり、トヨタは1.5~2リッターの排気量で展開していたオーリスに1.2リッターターボエンジンを搭載したモデルを追加。レクサスブランドではSUVのNX、RXに立て続けに2リッターターボ搭載モデルをラインナップしてデビューさせた。今回、試乗したIS200tは、そのNX、RXのものと基本的には同じ、2リッターターボエンジンを搭載したモデルとして追加された。(産経ニュース/SankeiBiz共同取材)
現行IS自体は、発表からすでに3年近く経過しており、新型車とは言えない車種ではあるのだが、「国産のダウンサイジングエンジンを搭載したオーソドックスなセダン」という新しさに興味を惹かれ、試乗することとなった。渋滞路を含む市街地、高速道路、路肩に雪が残った箱根・芦ノ湖周辺の山坂道で、IS200tはどんな走りを見せてくれるのか。
レクサス初のダウンサイジングエンジン、ISとの相性は
このエンジン、スペックだけ見ると、同じISの250に搭載されているV型6気筒エンジンよりもだいぶパワフルである。出力で30馬力、トルクは9kgf・m/rpm上回っている。実際、発進させてみると、2リッターのエンジンとしてはかなりトルク感が強く、ドライバー込みで1.7トンの車体を難なく加速させていく。順調に流れている一般道でも、高速道路での追い越しでも、急勾配の山坂道でも、不足を感じる場面はなかった。さすがに、より車重のあるNX、RXにも搭載されているエンジンだけのことはある。パワーがありあまるという感じもなく、ISのボディと相性のよい出力を持ったエンジンという印象を受けた。