議会要求は厳しく
最大の障害になっている新薬データをめぐっては、最先端の高価ながん治療薬などの保護期間が焦点になっている。米国が12年を主張し、オーストラリアやニュージーランド、マレーシア、チリ、ペルーが5年以下を求めてきた。
交渉関係者によると、米国は8年までなら譲歩する案を検討し、オーストラリアも実質6年なら容認する姿勢を示しているもようだ。硬直状態からわずかながら前進の兆しが見え始めている。
乳製品では、ニュージーランドが日米やカナダに過大な市場開放を要求してきた。米国はニュージーランドに軟化を促しているとみられ、ニュージーランドは「歩み寄りを見せつつある」(交渉筋)という。
ただ、参加国内では「米国の譲歩がなければ、これ以上の前進は困難」との見方も強い。米国は大統領選挙などの政治日程が視野に入る中、議会の要求も厳しさを増しているが、強硬姿勢を貫けば、合意が遠のくのは避けられそうにない。(米アトランタ 小雲規生、西村利也/SANKEI EXPRESS)