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【安倍政権考】出る?出ない? 総裁選出馬の損得 (2/2ページ)

2015.9.5 09:30

自民党総裁選への立候補を表明する安倍晋三(しんぞう)首相(中央)=2015年9月1日、東京都立川市(共同)

自民党総裁選への立候補を表明する安倍晋三(しんぞう)首相(中央)=2015年9月1日、東京都立川市(共同)【拡大】

 首相側近の1人は年明け、「総裁選に出たい実力者には出てもらい、横綱相撲でつぶせばいい」と余裕の表情をみせていた。ただ現在は、野田氏が出馬に必要な推薦人20人を集められるかどうか、血眼になって情報を集めている。

 「この状況で総裁選になれば、野党が20日の開票日まで『首相が代わる可能性がある』として審議拒否するのは必至。9月は5連休もあり、廃案が現実味を帯びてくる。野田氏が総裁選で安保批判をすれば、野党にも利用されかねない」

 この側近は、「戦うタイミングを間違えている」と野田氏に怒りを隠さない。

 干されても、将来に布石

 「自民党を宣伝する最大のチャンスを失うのか。このままなら『潮目』が変わっても党が対応できなくなってしまう」

 野田氏は8月末、親しい議員にこう説いて、推薦人になるよう頼み込んだ。

 野田氏はもともと、盟友の石破茂地方創生担当相に出馬を促していた。周囲には「今は干されることを覚悟の上で明確な旗を立てるべきだ。未来永劫(えいごう)今の権力構造が続くわけではない」と強調。今は“万一”に備え存在感を示しておいた方が得策という判断だ。

 過去には小泉純一郎元首相が3回、麻生太郎副総理兼財務相が4回総裁選に手を挙げ、首相の座を射止めている。両氏は党内基盤が脆弱(ぜいじゃく)だったが、総裁選を通じ、両氏の知名度が向上した。総裁選は事実上首相を決める場だけに、「メディアジャック」の効果も期待できるからだ。野田氏周辺は「自民党は党内で『疑似政権交代』を繰り返すことで幅広い国民の支持を得てきた。党内に多様な声があると示すことも、かえって安心感を与えることにつながる」とも語る。

 ただ首相を目指すからには、この国をどう導くのか、骨太の政策ビジョンが不可欠だ。経済は成長優先か、財政健全化に重きを置くのか。激変する東アジアの安全保障環境にどう向き合うのか。少子高齢化対策は?憲法改正は?こうした国家の基本戦略について、もっと野田氏の考えを聞きたい。女性初の首相候補という期待もあるだけに関心も高いはずだ。

 「そんなのスタートラインに立たなければ言えないでしょ」。野田氏側近はこうため息をつくが、政策への共感は必ず求心力を生む。逆にいえば、5人出馬した平成24年の総裁選では、政策を語れずに政治家としての底の浅さを露呈した候補もいた。総裁選は党をアピールする格好の場だが、残酷な舞台装置にもなり得る。「20人の推薦人」という出馬条件は、実によくできた仕掛けなのだ。(政治部 水内茂幸/SANKEI EXPRESS

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