ところが憲法を人質に取られ骨抜きにされた法律は、国際情勢変化にも兵器の進化にも耐えられぬ。欠陥法の穴を埋めるべく新たな欠陥法を創る負の連鎖は続く。現行憲法が在る限り今次安保関連法案も抑制的で欠陥を有す。審議が空疎でかみ合わぬ辺りも「いつか来た道」だが、《後追い法》の色彩が薄く、新たな道を切り開く一歩となる予感はする。
冷戦中、自衛隊の任務は明確だった。重火器や戦闘機でソ連軍の着上陸侵攻に備える一方、来援する米艦隊の露払い-すなわち周辺海域で、ソ連攻撃型原子力潜水艦を探知・殲滅し機雷を除去する任務に、一定程度特化できた。自衛隊は盾で、米軍の槍や核の傘に隠れていれば、有り余る法的欠陥も弥縫策で乗り切れ、国際問題にもほっ被りを決め込めた。何となれば、ソ連封じ込めの東正面に陣取っていると、西側諸国に弁解が許された。実際(1)ソ連軍の太平洋侵出を阻む日本列島を死守する国防戦略は(2)極東防衛だけでなく(3)西側諸国による共産圏包囲網の一翼を自動的に担った⇒まさに「三位一体」だった。