こうした連合内の内情を熟知する安倍首相の労組分断作戦は実に巧妙だ。安倍首相は自身の経済政策「アベノミクス」を実現させるため、「政労使会議」を発案。2013年9月、連合の古賀伸明会長を引きずり出した。それまでの自民党政権は対峙(たいじ)型の「政労会見」として、政府と連合だけの枠組みで協議してきたが、政労使会議には経団連も参加することになった。政府が労使の間を取り持つ形で話し合いを続け、連合内にあった安倍政権アレルギーを徐々に払拭させることに成功。やがて逢見氏との密会を果たすまでに至った。
正攻法だがパンチ不足
ただ、安倍首相の正念場はここからだ。古賀会長は14年の産経新聞の取材で、こう民主党を批判している。
「民主は働く者の視点に立った政策を進めようとしたが、ガバナンス(統治)に問題があった。政権運営に失敗した理由はほぼそれだけだ。自民の場合、いざとなったら(政策論ではなく)政権維持にベクトルが向く。民主は、みんなが(消費増税を巡り)言いたいことをどんどん言って分裂した」