沈黙を守ってきた在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長がとうとう、競売の落札後に転売された総連中央本部ビル(東京都千代田区)の継続使用を周囲に宣言した。公安関係者によると、「今後も使用できるようになった」と明言したという。退去は時間の問題とみられていたのが一転、継続使用を目指す朝鮮総連の戦術が奏功した形だ。許氏は昨年9月、競売問題を抱えたまま訪朝したが金正恩第1書記(32)と会えず、求心力が低下していた。継続使用が確実となった成果をアピールし、政治的基盤の再強化と北朝鮮での復権を図るものとみられる。
水面下で活動
総連本部競売問題をめぐっては、破綻した在日朝鮮人系信用組合から約627億円の債権を引き継いだ整理回収機構が申し立てを行い、東京地裁が2012年に競売開始を決定した。2回目の入札でモンゴル企業が約50億円で落札したが、書類不備のため資格喪失となった。