ただ、白山出版会館管理会は昨年12月15日に突然、「朝鮮出版会館管理会」から社名を変更していた。現在の役員には総連幹部や北朝鮮の元最高人民会議代議員が名を連ねていることから、公安関係者は「社名変更は、対外的に朝鮮総連との関係性を薄めようと画策するカムフラージュ工作にほかならない」と分析する。こうした工作を指揮してきた許氏は、総連結成60周年を迎える5月の記念イベントを通じ、本部継続使用の成果を公に誇示するとみられる。
「静観」の政府
一方、自民党の山本一太・前沖縄北方相(57)ら有志議員は2月5日、菅義偉(よしひで)官房長官(66)に転売問題の経緯調査と適切な対応を申し入れた。これに対し政府は、拉致被害者の再調査を行う北朝鮮の特別調査委員会が発足して1年になる今年7月までは北朝鮮に刺激を与えず静観する構えだ。
ただ、これまでの北京の大使館ルートを通じた日朝間のやりとりや、水面下の非公式協議を並行して続けてきたが、回答が見込める感触すら得られていないのが現状だ。拉致問題の解決は安倍晋三政権の最優先課題のため、政府内では「『成果はありませんでした』では済まされない」(内閣官房幹部)との声も出ている。