中国国際問題研究院国際戦略研究所の蘇暁暉副所長は、6月30日付の人民日報(海外版)への寄稿でもっともらしくこう指摘した。だが、前提としているのは環球時報の記事の内容であるため、この分析はそもそも成り立たないはずだ。
環球時報の記事に明らかな問題があることは、引用元の「週刊現代」を確認すれば一目瞭然だ。にもかかわらず、中国の主要メディアはそれを怠り、後追い報道をしている。
今回の一件に限らず、中国メディアでは、あるメディアが報じた内容を真偽を確かめもせずに、自社の報道に利用するのが日常茶飯事となっている。
こうした中国メディアの悪弊を批判するのはたやすい。だが、明らかな誤報や捏造記事さえ、無批判に引用や転載が繰り返される過程で既成事実化され、中国世論に影響する恐れがある。ゆるがせにできない問題だ。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)