以上が、長男シェンロン氏では中国に互していく才も胆力もないと見抜いたクアンユー氏の「遺言」だったとしたら、中国の代弁者と成り果てたシェンロン氏の言動に得心がいく。
「遺言」は、欧米兵器で鎧われたシンガポール軍が、中国の呼び掛け通り台湾から中国・海南島へ移駐先を変える悪夢で第一幕を終える。そういえば、日本に向けた「遺言」もあった。
「日本はゆっくりと凡庸になっていく」
第二幕以降、シンガポールは戦中同様、華人の抗日拠点に戻っていくのだろうか。(政治部専門委員 野口裕之(のぐち・ひろゆき)/SANKEI EXPRESS)