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【野口裕之の軍事情勢】中国の代弁者に堕ちたシンガポール (4/6ページ)

2015.6.15 06:00

アジア安全保障会議で基調演説するシンガポールのリー・シェンロン首相。龍ににらまれたカエルのごとく中国を弁護し、見苦しかった=2015年5月29日、シンガポール(AP)

アジア安全保障会議で基調演説するシンガポールのリー・シェンロン首相。龍ににらまれたカエルのごとく中国を弁護し、見苦しかった=2015年5月29日、シンガポール(AP)【拡大】

 3月のクアンユー氏没後、中国がシェンロン氏の「軽さ」を見逃さず、5月の安保会議での親中反日演説を強要したとすれば、その狡猾さにはゾッとする。もっとも、シェンロン氏が中国の磁場に引き寄せられ始めたと小欄が確信したのは14年。70人規模ながら陸軍歩兵部隊を中国軍南京軍区に2回派遣し、山岳戦に関する実動・指揮所演習などを行ったのである。09・10両年、中国・広州で両軍は対テロ治安維持合同訓練を実施してはいるが、14年は外国軍との正規戦を想定した演習で本質が相当異なる。しかも、南京軍区は台湾侵攻を担任する。信頼醸成目的の軍事交流といえないばかりか、中国⇔シンガポールの情報交換次第で台湾は危機に陥る。シンガポール軍は台湾の地形・国防網に知悉しているためだ。

 クアンユー氏は自国と同じ「華人の小さな島国」台湾の蒋介石総統(1887~1975年)に1974年、軍事訓練実現を打診。75年以来、90年の国交断絶を経て尚、シンガポールは歩兵/ミサイルを含む砲兵/戦車など機甲といった陸軍部隊や空軍を、数千人規模で少なくとも台湾の3カ所に分散配置し、演習を継続している。《星光計画》と呼ばれる暗黙の軍事同盟だ。

抗日拠点に戻るのか

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