「う桶」はこの店が考案した。「店が狭くしかも人通りの少ない裏通りですので、近隣のお茶屋さんに出前に行くことが多くなります。それで『う桶』が生まれました」
鰻のかば焼きは「裂き三年、串八年、焼き一生」といわれ、熟練した経験と技術が必要。鰻の状態を手で確かめ、肌で感じながら、火加減を調節して焼き上げていく。料理の世界に入って40年以上という料理長の相原清さんは「蒸した鰻は軟らかく、崩れないように丁寧に焼きます。毎度真剣勝負ですよ」と静かに語る。つややかな照りを帯びたかば焼きは職人技というよりない。
タレを均一にまぶしたご飯の上にふっくら焼かれた鰻が整然と並ぶ。熱々はもちろん、冷めてもおいしくいただける。上品な味わいの肝吸いも絶品。「鰻白焼き」や「う巻き」「うざく」「きも焼き」などの一品料理に、コース料理(要予約)もある。
5人前 1人でペロリ
「鰻は苦手というお客さまも、ここのならいくらでも食べられるとおっしゃってくださいます」と赤松さん。5人前の「う桶」を1人で平らげた男性客もいるそうで、国内外から多くの客が訪れる人気店というのも納得だ。