【京都うまいものめぐり】
京都一華やかな街といわれる祇園だが、裏通りの西花見小路は格子戸(こうしど)や出格子(でごうし)、駒寄せなど古いたたずまいが並び、落ち着いた雰囲気がある。通り沿いにある「う桶(おけ)や う」は、鰻料理の専門店で、杉桶に並べられた鰻のかば焼き「う桶」が有名。「ここの鰻ならいくらでも食べられる」という客も多く、「ミシュランガイド」で一つ星を獲得している名店だ。
大きな杉桶の蓋を開けるとふわぁっと香りが広がる。ご飯の上に“筏(いかだ)”に並べられたつややかな鰻のかば焼きに思わず喉が鳴る。これがこの店名代(なだい)の「う桶」だ。
茶碗(ちゃわん)に取り分けてもらい、さっそくひと口。ふんわり軟らかな鰻が口の中でほろりと溶けていく。香ばしさとまろやかで上品な味わいにどんどん箸が進む。
「3人前をペロリと召し上がる女性のお客さまもおられますよ」と女将の赤松志津さんが話す。「う桶」は、3人前(1万円)、4人前(1万3500円)、5人前(1万6380円)の3種類で、肝吸いと香の物がつく。