麻生太郎財務相はG20閉幕後も「AIIBが融資先を審査する能力を持っているとは言い難い」と述べ、加盟に消極的な姿勢を崩さなかった。だが政府内では「参加しなければ国際的な地位が低下するだけだ」(経済官庁幹部)との声が日増しに強まっている。
協調融資訴え
ルー米財務長官はG20閉幕後の記者会見で、現在の国際金融の枠組みの中で「米国の大きな役割を維持したい」と述べ、引き続き牽引役となっていく決意を示した。だが新興国の発言力を高めるIMFの改革は米議会の反対で実現せず、米国の求心力低下は否定できない。
麻生、ルー両氏は16日の会談で、融資や組織運営などの面でAIIBに国際基準を守らせるには、既存の国際機関との協調融資が有効との認識で一致した。日米それぞれが大きな影響力を持つ世界銀行、ADBを融資にかませ、AIIBの運営に間接的に関与したいとの思惑が透けるが、中国が乗ってくるかどうかは不透明だ。
17日のニューヨーク株式市場はギリシャ問題への不安が高まり、株価は大幅に下落した。AIIBをめぐる政治ゲームに各国が気を取られ、足元の危機への取り組みが遅々として進まないことへの警鐘との受け止めも広がっている。(共同/SANKEI EXPRESS)