バラク・オバマ米大統領(53)が中国や北朝鮮からのサイバー攻撃に対する反撃の一手を繰り出した。サイバー攻撃に関与した個人や組織を資産凍結や渡航禁止の対象にすることを可能にするもので、背景には民間企業に対するサイバー攻撃が相次ぎ、米国の安全保障が脅かされているとの懸念の高まりがある。中国側はすでにオバマ氏の対応に不満の声を上げているが、オバマ政権には国際社会での中国の存在感拡大を食い止めたいという思惑もあるとみられ、サイバー攻撃に関しては強い態度を示している。オバマ氏はこれまで中国との協調をアピールしてきたが、サイバー攻撃問題は今後も摩擦の火種になりそうだ。
中国の存在感拡大阻止
「外国からの悪意のあるサイバー攻撃は米国の安全保障や外交、経済に非常に重大な脅威をもたらしている」。オバマ氏は1日に署名した大統領令で、サイバー攻撃の深刻さを指摘したうえで「非常事態」を宣言した。
大統領令は、財務長官によってサイバー攻撃に関与したと認定された個人や組織を経済制裁の対象とするもの。またサイバー攻撃によって盗まれたものだと知りながら、商取引上の情報を受け取ったり、利用した個人などへの制裁も可能になる。