今回の制裁強化は、中国が年内の設立を目指すアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーとして50カ国超を集めるなかで発表された。オバマ政権はAIIBが中国の影響力拡大のツールとして使われることを懸念し、水面下で各国に不参加を呼びかけながらも、英国、フランス、ドイツ、イタリア、豪州、韓国など重要な同盟国に相次いでそっぽをむかれるという屈辱を味わっただけに、中国への対決姿勢には「国際社会に対して『ルールに従わない中国』のイメージを強調したい」という思惑もちらつく。
協調と同時に牽制
こうした見方を裏付けるように、ジャック・ルー財務長官(59)は3月31日、北京での李克強首相(59)らとの会談からの帰国直後のスピーチで、「サイバー攻撃は受け入れられない。特に国家が関与している場合はなおさらだ」として中国を糾弾。また中国がIT企業に対して電子情報にかけた暗号の解読方法を治安当局に示すことなどを義務化しようとしていることについても「米中間の経済関係を損なう」と批判した。