中国財政省は15日、中国主導で設立準備が進んでいるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、57カ国の参加が決まったと発表した。国営中央テレビ(CCTV)によると、これで創設メンバーが確定した。日米の主導で67カ国・地域が参加しているアジア開発銀行(ADB)に迫る規模となる。
参加国は14日夜までに50カ国が確定。参加国どうしの相互承認を経て、15日にはスウェーデン、イスラエル、南アフリカ、アゼルバイジャン、ポルトガル、アイスランド、ポーランドの7カ国が追加された。南アの参加で、ブラジル、ロシア、インド、中国の新興5カ国(BRICS)が、いずれもAIIBに入る。
一方で、参加意向を表明していた香港と台湾は、中国の独断で創設メンバーからの除外が決まり、国際金融機関としての中立性や透明性に疑問符がついた。
AIIBは年内の設立をめざす。中国が最大の出資国となり、初代総裁も出す見通し。創設メンバーによる交渉を経て、出資比率や組織形態、融資基準などを6月末までに固める。運営のための理事会を置く方向で検討する。資本金は500億ドル(約6兆円)でスタートし、その後1000億ドルまで増資する見込みだ。
日米は中国主導の運営が透明性を欠くとの懸念を持っており、創設メンバーへの参加を見送っている。
李克強首相(59)は14日午後、河野洋平元衆院議長を団長とする訪中団と会談し、「後から参加した国も発言権が得られないわけではない」と強調し、改めて日本の参加を促した。(上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS)
【アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーに確定した国】
中国、オーストラリア、ルクセンブルク、韓国、ニュージーランド、英国、インドネシア、サウジアラビア、スイス、カンボジア、クウェート、ドイツ、シンガポール、カタール、フランス、タイ、ヨルダン、イタリア、フィリピン、オマーン、オーストリア、ブルネイ、トルコ、オランダ、ベトナム、イラン、デンマーク、マレーシア、アラブ首長国連邦、フィンランド、ミャンマー、エジプト、スウェーデン、ラオス、イスラエル、ノルウェー、インド、ロシア、アイスランド、パキスタン、カザフスタン、マルタ、バングラデシュ、タジキスタン、ポーランド、ネパール、ウズベキスタン、スペイン、スリランカ、グルジア、ポルトガル、モルディブ、アゼルバイジャン、ブラジル、モンゴル、キルギス、南アフリカ(57カ国の参加)