政府・与党が国内農業の強化に向けて大なたを振るうことになった。9日決着した農協改革は、約60年間続いた農協の中央会制度を抜本的に見直す農政の大転換となる。農協を含む一連の農業改革は安倍晋三政権の成長戦略の柱の一つに位置づけられ、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の妥結を見据えて国際競争に負けない農業の育成につなげられるかが問われている。
狙いは「創意工夫」
「各農協は自由に経営が行えるようになり、農協同士が競争する市場が形成される」。ある農林水産省幹部は農協改革の意義をこう強調する。
今回の改革は全国約700の地域農協に「競争原理」を植え付けて、創意工夫を引き出すのが狙いだ。
これまで各地域農協はJA全中から農協法に基づく監査を受け、画一的な経営指導に従わざるを得ず、農産物の共同販売や資材の共同購入で農家に横並びのサービスしか提供できないことが問題視されていた。
政府・与党が今回の改革で描く青写真は、JA全中の監査・指導権をなくすことで、各地域の農協が独自の経営的感覚を磨き、新たな農産物の開発や流通ルートの開拓でお互いに競い合うようになる姿だ。