半世紀にわたり敵対してきた米国とキューバが関係改善へ歴史的一歩を踏み出した。バラク・オバマ米大統領(53)は17日、ホワイトハウスで声明を発表し、1961年以来、断交状態にあるキューバとの国交正常化交渉を開始することなど、対キューバ政策を抜本的に変更する包括的な新方針を明らかにした。キューバのラウル・カストロ国家評議会議長(83)も17日、ハバナで演説し、「オバマ大統領の決断は尊敬と評価に値する」と歓迎した。関係改善はローマ法王フランシスコ(78)が仲介した。
両首脳が電話協議
両首脳は政策転換の発表に先立ち16日、約1時間にわたって「キューバ革命以来」(米高官)とされる電話協議を行い、受刑者や情報機関要員の相互の釈放などについても話し合った。
米側の新たな方針の柱は、(1)今後数カ月間で、キューバの首都ハバナに米国大使館を開設(2)米国人のキューバへの渡航、送金規制を緩和(3)銀行、貿易取引の正常化(4)キューバの民間部門に資する物品などの輸出拡大(5)米国によるキューバのテロ支援国家指定の見直し-など。ホワイトハウスによると、両国政府は来年1月、ハバナで局長級の国交正常化交渉を始める。ただ、来月から米上下両院の多数派となる共和党から強い反発が出ており、曲折も予想される。