「マナミ、それは恐れているからよ」
南米ボリビアで、先住民として初めて国のトップに選出されたエボ・モラレス大統領(54)。彼の就任に伴い貧困層の生活が改善するなど一定の成果が出ているのに、なぜ富裕層は政権に批判的なのか。ラパス日本人会に勤めるベティと話していると、そんな答えが返ってきた。
彼女は続ける。「富裕層は公の場では政府を批判しない。実は先住民に負い目を感じているから。そして権利を拡大していく先住民に恐怖を感じているのも事実よ」と、ボリビア国民の心理を表現した。中間層に属しながら、モラレスの政策を評価する人に初めて会った。
以前は社会に対する不満すら訴える術がなかった先住民たちが、モラレス就任後は「声」をあげるようになった。頻繁に遭遇したストライキやデモ行進からも見て取れる。自信を取り戻し、生き生きとしているのは、彼らのしぐさや表情から一目瞭然だった。