広大な太平洋を望むように建つ、曲線を描く大型の商業施設。沈みゆく夕日が色彩を織りなす夕空。子供たちは原っぱの遊具でまだ元気よく遊んでいる。夕暮れ時のペルーの首都、リマ。新市街のミラフローレス地区は、平穏な雰囲気に包まれていた。
高層ビルが立ち、片道4車線の自動車専用道路をさっそうと車が走り、カジノがにぎわう。潮風を感じるこの街は、素朴な印象だったペルーのイメージを一変させた。でも、浮かれていたのもつかの間。滞在日数を重ねるうちに、リマのもう一つの顔も垣間見ることになった。
大聖堂や教会、修道院など植民地時代の荘重な建造物が並ぶ旧市街のはるかかなたを眺めると、木が一本も生えていない乾いたはげ山の斜面に、カラフルな色のバラックが身を寄せ合うようにひしめき合うのが目に入る。貧困がすぐそこに存在することを想起させる。昼間でも薄暗く、手頃な食堂が繁盛しているような路地を歩くと、旧市街のあまりよろしくない治安は肌で感じることができる。