中国・北京で10日、安倍晋三首相(60)と中国の習近平国家主席(61)による日中首脳会談が実現した。尖閣諸島(沖縄県石垣市)や小笠原諸島(東京都小笠原村)に中国公船や中国の密漁船が迫る事態は、今回の首脳会談で改善に動くのか。地元関係者の声からは、期待感と警戒感が交錯した複雑な心境がうかがえる。
緊張が落ち着けば…
中国公船が領海侵犯を繰り返す尖閣諸島。八重山漁協の上原亀一(かめいち)組合長(52)は、「対立だけでは前に進まない」と首脳会談の成果に期待を寄せる。石垣市の中山義隆市長(47)も「緊張関係が少しは落ち着くのでは」との見方を示した。
ただ、首脳会談をめぐり中国側は、尖閣諸島の領有権問題の存在を認めるよう日本側に強く迫った。中山市長は、かつての中国の最高実力者、●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)氏が持ち出した領有権の“棚上げ論”を念頭に「棚上げのような形で手を打ち、そのままにしておくとまた10年後、20年後に中国に押し込まれてしまう」と警戒感をあらわにする。