報道によれば、野々村氏は県会議員としての政務活動に使える費用について、昨年度だけで195回の日帰りの出張費を請求。大雨で特急列車が運休し日帰りが困難な日についても請求していた。また、通常は郵便局で別納扱いする大量郵送物も、切手を自ら購入し投函(とうかん)したとして、切手代を請求した。
こうしたことが3年も続けられていたことが発覚。記者クラブから追及され、会見したわけだが、その弁明が3時間にも及んだにもかかわらず、中身といえば、「少子高齢化を防ぐための政務活動と活動内容報告の折り合いをつけてもらいたい…」などとまったく関係のないことを繰り返し、突然号泣するという、どうにも理解しがたいものであった。
誰が見てもばかばかしい会見で、カラ出張疑惑をますます濃厚にするものであった。もし、カラ出張であれば、議員資格剥奪になっても当然だが、今回のケースが、かねてから不透明さが指摘されてきた地方議会の政務活動費の清廉化のきっかけになれば、けがの功名でもある。
だが、問題をこの程度の顛末(てんまつ)で終わらせてはいけない。確かに、この号泣議員はとんでもない人物のようだが、そうしたレベルの議員を選んでいる有権者のレベルも同時に問われるからである。さらには、そうしたレベルの議員が、今日の選挙のやり方では当選してしまうという日本社会の構造が問題になってくる。