もう一つ特徴的なのは、こうした逸品が財団のピエール・チェン理事長の住まいに“同居”していることだ。チェン理事長は美術館のインタビューに、「絵を掛け替えることで、(部屋の)雰囲気を変えられる」と、普通のインテリアを扱うように答えている。
さらに、作品購入の判断基準については「自分が好きだと思える作品を買っているだけ」と「嗜好」を第一に挙げ、収集するという行為は「濃密な発見に満たされた旅」だと表現した。
作家の育成事業も
チェン理事長は今や世界的にも十指に入る民間人コレクターだが、「最近、アジアやラテン・アメリカの富裕層によるアート購入が盛んになり、コレクターたちの発言権も高まっている」と指摘するのは、東京国立近代美術館の保坂健二朗主任研究員だ。
フランスを本拠地とする「アートプライス」発行の報告書によれば、2012~13年の現代美術作品を購入した国別の総額ランキング10位内にはアメリカ、中国、英国、フランスやトルコ、カタールなどが入り、日本はランク外だ。