キリストと言えば、杉本博司の「最後の晩餐(ばんさん)」は、レオナルド・ダビンチの作品に題材を求めた。蝋(ろう)人形を使って、目の前で実際の晩餐が繰り広げられているように写し出すが、ダビンチが活躍した15~16世紀の重厚な雰囲気まで醸し出している。
2012年のロンドン・パラリンピック開会式で、手足に障害をもつ女性の巨大なヌードの彫刻を登場させ話題になったマーク・クイン。「ミニチュアのヴィーナス」は、女性にアクロバチックなヨガのポーズを取らせることで、人を超え「神」や「魔性」の美にまで迫ろうとしているかのようだ。
「自分の嗜好」が購入の基準
東京国立近代美術館によれば、最近の現代美術の傾向として、手法の奇抜さより、従来の技法を地道に極めながら、テーマによる斬新さを表現する作品が多く、今回の展覧会にも傾向が表れているという。しかし、ヤゲオ財団コレクションの収集に顕著な傾向があるわけではなく、美術館は入場者が見やすいように、ミューズ、ポップ・アート、崇高、威厳など10のテーマでくくり、西洋と東洋の作品を組み合わせて展示している。