「火と水は、言葉を換えると『かみ』になる。その神のもとで御手洗祭は行われているのです」という宮司の言葉に、祭りの奥深さが垣間見えた瞬間だった。
≪宮大工 匠の技が受け継ぐもの≫
今、下鴨神社は来年迎える21年に一度の正遷宮に向けて、修復が最終局面を迎えている。21年という数字は、桧皮(ひわだ)の寿命が約20年であり、技術の伝承にも適当な年数だからだと聞く。1枚1枚、桧皮を張る気の遠い作業なのだが、宮大工の匠は、ミリ単位の感覚を持ち、カメラでは追えないほどのスピードで、桧皮を打ち付けていく。
現場で一番大事な点は何かと尋ねたら、「復元が大前提なので、自分たちの手は極力控えています」という。
「そこに大正時代の焼き印があるでしょう。古いものをなるべくそのまま使う。傷んだものだけを最小限、取り替える。みんなそうやってきた」という言葉が返ってきた。