一年に一度、御蔭山(みかげやま)で新しく誕生した神を、下鴨神社に鎮座する神と合体させることで、御魂が再生するという祭りなのだ。
なるほど、糺(ただす)の森で体験したあの不思議な感覚は、この再生の物語そのものだったことに気づかされた。
その後、僕は下鴨神社の3つの祭りの写真を撮らせていただいた。
1つ目は、土用丑の日前後に行われる御手洗祭(みたらしまつり)。境内から湧き出す水に足をつけ、穢(けが)れを祓(はら)い、無病息災を祈る。この笑顔あふれる夏の風物詩について、新木直人(あらきなおと)宮司(77)から興味深い話を聞いた。
新木宮司は、京都の歴史や民俗に精通した学者のような存在で、僕のすべての疑問に丁寧に答えてくださる。
ずっと気になっていた、境内の「烏の縄手」と呼ばれる古道が、下鴨神社ができる以前の古層が見え隠れする場所であることも識ることができた。