「法の不遡及に反する」
一方、中国側はラッセル氏の発言について、外務省の洪磊(こう・らい)報道官(44)が(2月)8日、「建設的な行為ではなく、米国に理性的で公平な態度を取るよう求める」と反発。共産党の機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報(電子版)も14日、政府系シンクタンク、南海研究院の呉士存院長(57)の「九段線の法的地位の否定を許さない」と題する寄稿を掲載した。呉氏は「九段線は1994年に発効した国連海洋法条約より40年以上前に出現している」とした上で、九段線の法的な位置付けを海洋法条約に合致するよう求めることは「法の不遡及(そきゅう)という国際法の基本原則に反する」と独自の論理で反論した。
九段線は、14日のケリー米国務長官の訪中でも取り上げられたようだ。ケリー氏は記者会見で、南シナ海問題で「より穏健で法の支配の原則に基づいた枠組みを構築する必要性について懸念を表明した」と述べた。ただ、北朝鮮の核開発問題をめぐり中国側の妥協を引き出したかったケリー氏が、実際の会談で九段線についてどこまで明確に主張したかは分からない。