2012年末には、中国の新旅券にも描かれていることが判明し、ベトナムやフィリピンが抗議した経緯がある。中国政府はこの九段線について、明確な説明を避けてきた。
ダニエル・ラッセル米国務次官補(60)=東アジア・太平洋担当=は(2月)5日、米議会下院外交委員会アジア・太平洋小委員会の公聴会で、「(島嶼(とうしょ)など)陸域の領有に基づかない、九段線によるいかなる海洋権益の主張も国際法に合致しない」と述べた上で、中国に対し、九段線の国際法上の位置付けを明示するよう求めた。
この証言を受け、ジェフリー・ベーダー元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は(2月)6日、所属するブルッキングス研究所のサイトに論考を発表。「米国政府が初めて、九段線が国際法に反するという明示的な声明を公表した」と解説した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(アジア版)も2月11日付の社説で、「ラッセル氏の証言は、米国が北京の挑発行動を何の疑いもなく受け入れることはないという重要な指標だ」と強調した。